TBS VINTAGE CLASSICS （6） チャイコフスキー：ヴァイオリン協奏曲、他

サージェント、そして渡辺茂夫！ 戦後のひとこまを飾った熱いドキュメントが甦る

当ディスクは、イギリスの名指揮者、マルコム・サージェントが、唯一度だけ来日した機会に東京交響楽団を指揮したドキュメントであると同時に、神童としてそのすばらしい才能を開花させながら、16歳のときに音楽家としての道を自ら絶ってしまった渡辺茂夫との共演を収録したものである。～渡辺茂夫の生い立ちと演奏活動の様子、そしてアメリカでの留学生活については、1996年に刊行された山本茂『神童』［文藝春秋］に書き記されている。もちろん、このサージェントとの演奏についても記されており、当初、「子供の売り出しに利用されるのはごめんだ」と抗議した指揮者が、リハーサル時の渡辺の演奏に満足し、ノー・チェックで最後まで通し、「スプレンディッド！」と叫んで手を握った話が載っている。～神童といったときに、人々が思い浮かべがちな優等生的なところはまるでなく、13歳のソリストが音楽に没入しながら、熱っぽく思いの丈を奏で上げているのが耳に残ることだろう。
満津岡信育（ライナーノーツ）
リマスタリング：2013年8月 by 杉本一家（ビクタークリエイティブメディア）