TBS VINTAGE CLASSICS (23) リムスキー=コルサコフ：シェヘラザード 他

名匠スメターチェクと東響の熱い絆を物語る名演が、今ここに甦る。

スメターチェクは、約2カ月にわたって東京交響楽団の指揮台にのぼり、数々の名演を繰り広げた。当盤所収のモーツァルトの《プラハ》は、きわめて速めのテンポ設定をとり、リピートを行わずに直進していく一方で、第1楽章のラストのように、ふっとテンポを緩めるなど、20世紀中盤のモーツァルト演奏の諸要素が混在しているのが興味深い。スメターチェクは、日本でのインタビューで語っていたように、モーツァルトをオーケストラにとっての試金石としてとらえており、東響の力量を掌握して鮮やかに操っている様子を耳にすることができる。それに対して、ブラームスの2つの《ハンガリー舞曲》では、緩急を巧みにつかって、楽曲が孕んでいる熱っぽさを存分に引き出すことに成功している。《シェヘラザード》演奏は、熱気に富む一方で、エキゾティックなテーマをうねるように歌い上げていくなど、すばらしい演奏が展開されている。既発売のTYGE-60013とあわせて、スメターチェクと東響の貴重なドキュメントが、このような形で耳にできることを大いに喜びたいと思う。　満津岡信育（ライナーノーツより）
マスタリング：2013年12月＆2014年1月 by 杉本一家（ビクタークリエイティブメディア）

※第1楽章は、放送当時の都合により、一部カットされています。ご了承ください。