Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020 " HELP EVER HURT NEVER

サロンにアーティストを招く

Mozartの時代、彼の音楽を愛した王侯貴族は、自分の屋敷に彼を招いてコンサートを催した。Mozartは一人しかいない。誰もが経験できることではなかった。限られた人の楽しみだった。現代のテクノロジーは、これをあまねく可能にした。むろん、コンサートの空気の振動や熱気を味わうことはできない。だが、映像は、演奏者の手元も、一瞬の表情の変化も、時にマイクを持つ手の震えまで見せてくれる。付録のドキュメント映像は、コンサートで自然に見えたしぐさの一つ一つが考え抜かれ、悩み抜かれて作り上げられた中での、Good grooveであることを教えてくれた。映像ならではの時間軸を組み込んだ情報量だった。 弾き語りの第Ⅰ部、名刺代わりの「何なんｗ」で始まるバンド演奏の第2部、Fujii Kazeさんの歴史を語るようなドラマチックな演出になっていた。これまでの「集大成」と「これから」を予感させる大河の流れを凝縮した作品だった。 コンサートに参加した皆さんが感じたであろう、稀代の音楽の化身との遭遇を果たした時間だった。目撃者にはなれなかったが、その疑似体験をさせてもらった。☆☆☆☆☆では足りない。天空の星を全部つけたいほどだ。 この経験をBlu-reyが可能してくれた。Fujii Kazeさん、スタッフの皆さん、そしてコンサートの成功に貢献してくれた観客の皆さんに御礼申し上げます。そのおかげで、今、こうして手にしていることができるのだから。ありがとうございました。感謝を伝えたくて駄文を綴りました。