イルジー・ビエロフラーヴェク

2017年5月に惜しくも亡くなったチェコの名匠ビエロフラーヴェク。デッカレーベルからはドヴォルザークの作品の数々がリリースされました。いずれも暖かみと優しさ溢れる豊かな響きをチェコ・フィルから導き出し、そのどれもが印象深い名盤でした。その彼が得意としていた作品が母国の作曲家スメタナの大曲である交響詩《我が祖国》です。スメタナは、チェコ民族主義と密接に関係する国民楽派を発展させた先駆者であり、チェコにおいては、広く“チェコ音楽の祖”として愛されています。その彼の代表作《我が祖国》は、チェコの建物、風景、歴史的事象を題材にした、全6曲からなる壮大な作品で、特に第2曲の〈ヴァルタヴァ〉は日本では〈モルダウ〉としてコンサートで度々演奏されています。ビエロフラーヴェクは《我が祖国》を得意としており、日本のオーケストラに客演した際も取り上げていました。また本国チェコでは、5月に開催されるこの国最大の音楽祭「プラハの春」オープニングコンサートでも度々演奏しています。ビエロフラーヴェクの芸術の真髄が凝縮した同作品の名盤として、永くディスコグラフィに残ることでしょう。

2017年5月に急逝したチェコの名匠イルジー・ビエロフラーヴェクが遺した一連のドヴォルザーク・シリーズより《スラヴ舞曲集》の登場です。ドヴォルザークの出生作となった第1集（作品46）、そして大作曲家としての名声を勝ち得た後に生み出された第2集（作品72）。スラヴ民族の音楽的特徴を活かした珠玉の全16曲を、ビエロフラーヴェクが真摯なアプローチで表現。この作品における21世紀の決定盤です。